2011年10月9日日曜日

小脳と運動観察


Cerebellum. 2011 Aug 13.

Your Actions in My Cerebellum: Subclinical Deficits in Action Observation in Patients with Unilateral Chronic Cerebellar Stroke.



Source

Center for Mind/Brain Sciences (CIMeC), University of Trento, Via delle Regole 101, 38123, Mattarello, Trento, Italy, luigi.cattaneo@unitn.it.
(日本語抄録)
我々は経験的に、少脳皮質損傷より大脳皮質損傷のほうが認知機能への影響は大きく、そして重要と考える。しかしながら、神経イメージング手法を用いた研究では、運動観察や運動理解に小脳が非常に強く賦活することが一貫して報告されている。このことは、小脳が運動観察において生じる自動的シミュレーション処理の一部に密接に関与しているからと考えられている。運動実行時に小脳がシーケンサー(sequencer)のように機能することより、小脳が運動を構成する要素の時間的処理(タイミング)を理解するのに非常に重要な役割を担っていると考えられる。そこで、慢性期で初発の小脳の虚血性血管障害8人でコホート研究を行った。実験課題は、他者による複雑な運動、または物体の複雑な運動という2種類の運動からランダムに埋め込まれている異質な運動シーケンスを検出するという課題である。16名の健常被験者が統制群として参加した。結果、小脳損傷の患者では、統制群と比較して、両運動条件において有意に成績の低下が見られ、さらに、ヒトの運動条件での成績が物体の運動条件に比較し成績が低かった。このような乖離は、ヒトの運動シークエンスは、他のシークエンスとは異なって小脳で表象されているようである。


(感想)
今水さんの左小脳皮質の内部モデルの話からかもしれないのですが、どうも小脳損傷患者さんには我々が行うよ観察・模倣運動学習の効果が難しいような気がします。一度、機会があれば障害の小脳半球の左右差を観察・運動学習で見てみたいと考えてます。 

2011年9月3日土曜日

tremor (振戦)

振戦(tremor)とは、相反神経支配されている筋肉群(主動筋と拮抗筋)が交互または不規則に収縮することにより引き起こされる不随意でリズミックな運動である。運動がリズミックであることにより他の不随意運動と区別され、主動筋と拮抗筋が関与することによりクローヌス(clonus)と区別される。

異常な病理的な振戦は、臨床上四肢の遠位筋でよく見られ、頭部、舌、顎、体幹筋といった近位部の筋は非常に稀である。また振戦は、覚醒下においてのみ見られ、殆どの場合、4から7Hzという生理的振戦の約半分ほどの周期である。

臨床の解析では、振戦の1)リズム性、2)周波数、3)運動や姿勢との関係、4)拮抗筋の活動パターン(交互または不規則)により分類される。

Adams and Victor's Principles of Neurology 9th Editionより

2011年9月2日金曜日

痛みと身体図式

痛みと身体図式、この2つの関係は幻肢痛へのミラーセラピーの効果を考えると結びつくものだけど、具体的にどのように結びついているかはわからない。

幻肢痛では、ない四肢があると感じるという幻肢という状態が身体図式の異常であることはまちがいない。また、ミラーセラピーでは、幻肢の運動意図と視覚フィードバックを一致させることにより、身体図式の修正、または再構築が行われている可能性が高い。

だけど、なぜ身体図式の異常が痛みにつながるかはわからない。幾つか仮説はたつけど、なかなか検証する方法が難しい。

ちなみに週1で、幻肢痛ではないがCRPSのtypeI疑いの患者さんへのミラーセラピーの介入を行っている。正直、効果は微妙であるが、長期的(半年くらい)にみると痛みは減少している。ただ、週一の介入で半年も続けてると、一体何が効いているかを知るのは困難だけど。

まあ、研究的介入であるのでじっくりと時間をかけて患者さんをみて、なにかヒントを得られればとのんびり構えています(^^


研究キーワード

研究の興味は、
「身体図式とは一体何なのか?それはどのように構築、再構築できるのか?」

現在の研究プロジェクトは、
1,慢性期脳卒中片麻痺患者への経頭蓋磁気刺激と模倣運動学習
2,幻肢痛に対する身体図式の再構築
3,小児に対する経頭蓋電気刺激(tDCS)を用いたリハビリテーション法の開発
でやってます。

研究のスタイルとしては、大規模研究ではなく、協力していただいている患者さんをできる限り長期にわたり細かくしっかりと見ていく狭く深くのスタンスです。
なもので、症例数は遅々として増えません(^^;
それで、今流行のRCTなんぞ先の先の話です。
このようなスタンスをとっている理由は、学術的なものではなく私の性格に起因しているような。。。

3の小児の研究は、生まれながらにして持っている模倣運動を利用した模倣運動学習の研究をしているので、子供のリハになんとか応用できないかというのがきっかけです。まだ始まったばっかりで現在6歳の子を週二回、半年にわたり見て、上肢の不随意運動の抑制を目指して、ほそぼそとやっています。

ちなみに研究プロジェクトに興味がある人は、書き込み、メール大歓迎です。



2011年9月1日木曜日

とりあえず

ブログが完成。
どのようなブログにしていくかは、まだ不明。
たぶん、リハビリテーションのための脳研究についてちょこちょこと書いていく予定。